タグ別アーカイブ: 股関節

【推論】ロシアW杯で好調なロナウド選手がCL決勝で不調だった原因

現在ロシアで開催されているW杯。
日本代表の活躍によって、巷でも大きな話題になっていますが、ポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウド選手も6月26日現在4得点で、得点王と1点差など好調なプレイで話題になっています。
そんなロナウド選手ですが、5月26日に行われたチャンピオンズ・リーグ(CL)の決勝では、下記動画の4:08から始まる決定機でミスしてしまうなど本調子とは程遠いパフォーマンスでした。

しかしCL決勝の5月26日からわずか20日後のW杯開幕戦、6月15日のスペイン代表との試合では試合終了間際のFKを決め、ハットトリックにを達成するという離れ業を演じてみせました。

本稿ではロナウド選手がCL決勝で不調だった原因と、わずか20日間という短期間でコンディションを大幅に改善できた原因について、以下の流れで推論を進めていきます。

0.結論
1.動画からわかるCL決勝当日の左脚の異常
2.静止画から確認できる決勝当日の左脚の異常
3.左脚のどこに異常があったのか?
4.なぜCL決勝当日に左脚を怪我してしまったのか?
5.なぜW杯では好調なのか?
6.まとめ
7.想像力を膨らませると・・・
続きを読む

2018年4月9日

・大谷選手の進化
以前に投稿した通り、右股関節の可動域や筋力に弱点があったのですが、冬の間に鍛えたのか、大幅に改善している事が、インパクト時の右股関節の様子から伺えます。


上半身と右脚が作る角度が、現在の方がより鋭角になっています。
これによって、骨盤の回転がよりスムーズにできるようになっていると思われます。
この右股関節の動きの改善によって、捻挫などの怪我のリスクも低くなるものと思われます。

以前に投稿した、大谷選手の捻挫癖について考察した記事はこちら

相撲の”女人禁制”は明治以降に作られた虚構? 救命中の女性に「土俵から降りて下さい」が波紋

相撲協会では土俵を女人禁制としているが、国際相撲連盟にはそのような規定はない。2001年からは世界女子相撲選手権大会も開催されている。

これが普通です。

<医療>「炭水化物が命を縮める」 衝撃論文の中身とは
ちょっと古い記事ですが、重要なので紹介させてもらいます。

炭水化物の摂取量が多いほど死亡リスクが高まり、脂質の摂取が多いほど死亡率が低下する

その知識、本当に正しいですか?
洗脳や依存の恐ろしさがよくわかる手記です。

大腿部のシビレを伴う右腰痛 30代女性

【症例】30代女性

【初回日】’15年5月8日(施術回数1回)

【現病歴】
’15年5月になってから右の腰が痛むようになった。
現在7kgの子供を抱っこしていることが原因として思い当たる。
仰向けに寝ると痛みは改善するが、横向けに寝ざるを得ない状況になっている。

【症状の確認】
〈立位〉
前屈(-)
後屈(-)
側屈:右(+)左(-)
回旋:右(-)左(-)
靴下を履く動作:右(-)左(+)

〈仰臥位〉
膝を伸ばしても曲げている時と痛みは変わらない
足振り:右(+)左(-)
膝倒し:右(-)左(+)
足上げ:右(+)左(-)

※痛みは全て右腰に出ます

【触診】

〇:圧痛あり
×:圧痛なし
●:硬結あり

患部である右腰部では臀筋の起始部に右のみ圧痛を検出しました。
シビレを感じるという、右大腿部には硬結はあるものの、圧痛は検出できませんでした。
右膝窩に圧痛を検出できました。

【施術】
施術方法に関する希望はありませんでしたが、鍼施術の経験が無いとのことだったので、「鍼、マッサージ、ストレッチのどれでも効果に差はありません」と説明すると、マッサージでの施術を希望されたので、鍼は使用せずマッサージとストレッチを行うことにしました。
まず、うつ伏せになってもらい、右の臀部と下肢に対し、圧痛を検出できた部分を中心にマッサージを施しました。
十分に筋肉が軟らかくなったのを確認してから仰向けになってもらいました。
ここで再度仰臥位での足振りと膝倒しをしてもらうと、それぞれ違和感程度まで痛みが改善していました。
仰向けのまま右臀部にペアストレッチを施し、右股関節の可動域を大きくしていきました。
すると、先ほどまであった足振りと膝倒しでの違和感が消失しました。
起き上がってもらい、最初と同じように右側屈と靴下を履く動作をしてもらいましたが、こちらの痛みも消失していました。
最後に臀筋のストレッチを指導して施術を終了しました。

仰向けが辛い左腰痛 60代女性

【症例】60代女性

【初診日】’16年10月18日(施術回数2回)
※以前に右踵痛で来院あり。

【現病歴】
9月20日頃から左腰痛が始まった。
整形外科を受診したところ、レントゲンと血液検査を受け、「骨粗鬆症ではない」と言われた。
歩くのは大丈夫だが、仰向けになるのが辛い。
以前から左の腰が痛くなることは何度かあった。

【症状の確認】
〈立位〉
前屈(-)
後屈(±)
側屈:右(-)左(+)
回旋:右(-)左(+)

〈仰臥位〉
膝を伸ばすと曲げている時よりも痛む

【施術】
施術方法の希望は特に無かったので、まずうつ伏せになってもらい、左を中心に臀部、頚肩部をマッサージ。
仰臥位になってもらうと、膝を伸ばしても腰の痛みが出ません。
更に左中心に臀部のストレッチを施しました。
その後、起き上がってもらい後屈と左側屈の痛みが少し残りましたが、左回旋での痛みが無くなっていました。


《第2診》10月24日(初診の6日後)

【経過】
「左腰はだいぶ良くなって、仰向けに寝れるようになった」

【症状の確認】
〈立位〉
前屈(-)
後屈(-)
側屈:右(-)左(+)
回旋:右(-)左(-)

【施術】
左側屈で左腰に痛みが生じていることから、右股関節の動きに問題があることを想定。
まずうつ伏せになってもらい、右中心に臀部をマッサージ。
次に頚部にマッサージを施しました。
更に仰臥位になってもらい、左右の臀筋にストレッチを施しました。
起き上がってもらい、左側屈してもらうと、左腰痛が無くなっていました。
最後に極力体を動かすよう指示して施術を終了しました。

「捻挫はクセになる?」-大谷選手の動きに見る「捻挫を繰り返す原因とその解決方法」-

【目次】
1.「捻挫はクセになる」?
2.足関節捻挫を繰り返す原因「股関節の内転不足」
3.大谷選手の「クセになっている」右足関節捻挫
4.上半身の動きからわかる大谷選手の右中臀筋の状態
5.なぜ肩の動きで中臀筋の状態がわかるのか
6.なぜ右足ばかり痛めてしまうのか?
7.大谷選手の捻挫グセは治るのか?有効な予防法とは
8.まとめ


1.「捻挫はクセになる」?

スポーツの現場などでは、足関節の捻挫を繰り返してしまう選手に対して「捻挫はクセになる(から治りにくい)」という言葉を聞くことがあります。
そしてクセになる原因としては、「関節を固定する靭帯が緩んだままになる」「しっかり固定ができていない」とか「がに股気味に歩いている」といった説明がなされることが多いようです。
しかし、本当にそういった原因で、捻挫を繰り返してしまうのでしょうか?
今回は足関節捻挫、特にその多くを占める内反捻挫が起こる原因や、繰り返してしまう身体的要因について、大谷翔平選手を始めとしたプロスポーツ選手の画像を見ながら、解剖生理学とバイオメカニクス的観点から考えていきたいと思います。

「足関節の内反・外反」
足関節内外反
http://muscle-guide.info/sokkan_2.htmlより

naihan
http://www.cramer.co.jp/1510-2/より
※「足関節の靱帯の損傷(捻挫)」について詳しくは足関節捻挫,前距腓靭帯損傷のリハビリ治療をご覧ください。


2.足関節捻挫を繰り返す原因「股関節の内転不足」

いきなりですが、筆者の考えです。
捻挫を繰り返してしまう主な原因は、「患側の中臀筋が弱かったり、硬かったりすることによる股関節の内転不足」だと考えます。

「中臀筋(右)」
中臀筋
http://www.musculature.biz/40/44/post_169/より

「股関節の内転・外転」
股関節内外転

下の画像の左足の様に、足関節を内反捻挫しやすい体勢になった瞬間、必ず同側の股関節も内転を強いられています。
ジェラード01-13

上の画像の様に「股関節の内転角度が十分に深く取れる」と、「足関節の内反捻挫のリスクが下がる」のです。
この理由について、野球よりも横方向への動きが激しく、より捻挫のリスクが高いスポーツであるサッカーを行いながらも、公式発表上「捻挫」での欠場が一度もないスティーブン・ジェラード選手と、捻挫を繰り返してしまっている選手の画像を比較ながら解説していきます。
※記録はtransfer marktのページより。

まず、ジェラード選手の画像です。

「股関節(左)が十分に内転した状態」
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上図の左脚の様に、股関節を深く内転することができると、膝から下(下腿)と地面が作る角度を小さくすることができます。すると、下の画像の様にキック後などに足関節の内反を強制されるような状態になっても、足関節の内反角度を小さくすることができます。
つまり、股関節を深く内転することで、足首の外側の靱帯が受けるダメージを軽減することができるのです。

「足関節の内反を強制される直前の状態」
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この瞬間の後、足関節の内反動作が始まり、足の甲が地面に着くまで強制的に内反されます。

「足関節(左)が内反し切った状態」
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この瞬間までに「股関節内転」が十分にできていると、その分だけ「足関節内反」の角度を小さくすることができ、捻挫のリスクを低くすることができるのです。

次に、「股関節内転」の角度を十分に取ることができず、足首の外側の靱帯を痛めている、つまり捻挫を繰り返している選手の画像も貼付します。
こちらのジョエル・マティプという選手は、’16年の7月以降だけで7・11・12月の計3度「左足関節の靱帯を痛めた」とクラブを通じて発表されています。
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※’16年になって左足首の怪我の頻度が増した原因や、右足関節を捻挫しない理由等、より詳しくはこちらのページをご覧ください。

キックした瞬間のマティプ選手の左股関節の内転角度をジェラード選手のそれと比較すると、内転角度が浅いことがわかるかと思います。
この状態で下の画像の様に足関節の内反が始まってしまうと、足の甲が地面に着くまでの足関節の内反角度が大きくなってしまい、足首の外側の靱帯を大きく伸ばしてしまいます。
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※この画像では、マティプ選手は全身を左に傾けることで、「足関節内反」の角度を小さくしています。

つまりマティプ選手は、「捻挫」を起こしやすい股関節、特に中臀筋の状態だということがわかります。

以上から、「中臀筋が柔軟かつ強靱で、股関節を深く内転することができれば、足関節捻挫のリスクを低くすることができる」ということがわかります。
反対に、足首の怪我だからと言って患部にばかり気を取られて、股関節、特に中臀筋の状態を改善させないでいると、いつまで経っても捻挫を繰り返してしまう、つまり「捻挫がクセになる」という現象が起きてしまうのです。


3.大谷選手の「クセになっている」右足関節捻挫

「クセになっている捻挫」を患っているスポーツ選手に、プロ野球の大谷翔平選手がいます。
ここでは、彼が捻挫を繰り返してしまっている原因について考えていきたいと思います。
まずは大谷選手の捻挫がどれくらい「クセになっているか」についてです。
下記の2つの記事によると、高校時代から右足関節の捻挫を繰り返していて、昨年の日本シリーズの際にも痛めていたことがわかります。

大谷、深刻な古傷「右足首」真相 花巻東時代から捻挫癖、WBC辞退どころか将来も危うい2017.02.03

当時(※2013年4月13日・オリックス戦(ほっともっと)でも、右翼守備で飛球を追った際ファウルゾーンの芝の切れ目で同じ右足首を捻挫)、「高校(花巻東)時代から軽い捻挫で足首を痛めることが何度かあった」と明かしていたが、ここにきて古傷が再発した格好だ。

WBC欠場の大谷翔平、自滅の理由は「足首の爆弾」と「キックボクシング」

大谷は昨年10月の日本シリーズ第4戦に“3番DH”でスタメン出場した際、1塁ベースへの走塁で右足首を捻挫しています。その時は、患部に分厚いアイシングを施しながらも、“足首が緩いので、いつも冷やしているんです”と軽傷をアピールしていました。

オフシーズンを挟んでも、前年10月に負った右足首の痛みが治りきなかったために、今回のWBCの辞退につながってしまいました。
しかも右足首をかばいながら出場し続けたためか、4月8日には左大腿二頭筋の肉離れ(筋挫傷)を負ってしまったそうです。
下の画像の内出血具合からすると、それなりに重度の筋挫傷であることが伺えます。

大谷「僕からは何も言えない」今度は左脚肉離れ…離脱4週間か
左大腿肉離れ痕
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6236948より


4.上半身の動きからわかる大谷選手の右中臀筋の状態

結論から述べてしまうと、大谷選手が捻挫を繰り返している最大の原因は、やはりマティプ選手と同様「中臀筋(大谷選手は右)が弱い」ことだと思われます。

「右中臀筋(再掲)」
中臀筋
http://www.musculature.biz/40/44/post_169/より

大谷選手の右中臀筋が左よりも弱いであろうことは、彼の走動作から伺われます。
打撃直後の走動作から、大谷選手の左右の中臀筋の状態を確認していきます。
左右の一歩目の着地から離地までの上半身、特に左右の肩の先(肩峰)を結んだライン(以下「肩のライン」)にご注目下さい。
※バットを放した直後の右脚の着地から離地を「右脚1歩目」とし、以降「左脚1歩目」「右脚2歩目」とします。

1/4倍速でスロー再生しても、わかりにくと思いますので、コマ送り画像も掲載していきます。
※You Tubeの動画は「,」と「.」の操作でコマ送りできます。

「右脚1歩目➀」
大谷・右脚着地01

「右脚1歩目⓶」
大谷・右脚着地01-2

「右脚1歩目③」大谷・右脚着地01-3

「右脚1歩目➃」
大谷・右脚着地01-4

「右脚1歩目⑤」
大谷・右脚着地01-5

「右脚1歩目⑥」
大谷・右脚着地01-6

次に「左脚1歩目」の着地から離地までのコマ送り画像です。

「左脚1歩目➀」
大谷・左脚着地01

「左脚1歩目⓶」
大谷・左脚着地01-2

「左脚1歩目③」
大谷・左脚着地01-3

「左脚1歩目➃」
大谷・左脚着地01-4

「まだよくわからない」という方のために、コマ送りのスライドショーを載せます。
※画像中央下部の➡をクリックしてください。

まずは右脚の1歩目(6コマ)。

スライドショーには JavaScript が必要です。

次に左脚1歩目(4コマ)。

スライドショーには JavaScript が必要です。

「肩のラインの左右差」はいかがだったでしょうか?
「右脚の着地から離地までの間、肩のラインが右側に傾いている」のが確認できるかと思います。反対に、左脚の着地から離地までの間の肩のラインの傾きは、それほど大きくありません。
ちなみにこの「肩のラインの左右差」は「2歩目」、「3歩目」でも、ほぼ変わらずに見られます。
この「右脚の着地から離地までの間、肩のラインが右側に傾いている」ことが、「大谷選手の右中臀筋の筋力が弱いこと」を示しているのです。


5.なぜ肩の動きで中臀筋の状態がわかるのか

次に「肩のラインの傾きで中臀筋の状態がわかる」理由についてです。
実はこの左右の肩の先(肩峰)を結んだラインが傾く動きは、中臀筋に十分な筋力が無い時に生じる典型的な動き(代償動作)です。歩行時にもこういった肩の動きが出現すると「ディシェンヌ跛行」と呼ばれ、中臀筋が弱い、もしくは麻痺している歩行とされます。
下図の右端cが右中臀筋が弱く、上半身が右に傾くディシェンヌ跛行している状態です。対して、左端のaは中臀筋の筋力が十分にあり、上半身が真っ直ぐにして立てている状態です。
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『プロメテウス解剖学アトラス解剖学総論/運動器系 初版』p.476より

先ほど「左足の捻挫を繰り返している選手」として取り上げさせてもらった、マティプ選手にも同様の兆候が見られます。
※こちらは単独の静止画です。

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捻挫を繰り返してしまっている左脚で着地した際には、左中臀筋の筋力が弱いために、代償動作として上半身が大きく左側に倒れています。

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対して、捻挫をしていない右脚で立った時には、右中臀筋は筋力が十分にあるために、上半身の傾きはありません。

※上記2点の画像は’12年9月のもので、このシーズンも翌シーズンもマティプ選手は試合を欠場するような捻挫はしていません。しかし2年後の’14年10月には、後に右第5中足骨の疲労骨折が判明する右足の怪我(非接触での負傷)を負っています。従って、この時期から怪我の前兆として、左中臀筋の筋力低下があったとしても、不思議ではありません。
※※「第五中足骨骨折」や「足底筋膜炎」、「シンスプリント」といった怪我は、足関節捻挫や膝痛とは反対に、安定して立てる(=中臀筋が強い)方の脚に発症してしまうことが多いようです。
参考記事「【考察】ジョーダン・ヘンダーソン選手の左踵の痛みが起きていない理由」
「トライアスリートの膝関節痛の原因となった股関節」

以上より、大谷選手は右の中臀筋が、左よりも弱いことが考えられるのです。
恐らく、この「右中臀筋の筋力不足」をトレーニングなどで改善できていないことによって、高校時代から現在に至るまで右足関節の捻挫を繰り返してしまっている、と私は考えます。
ここまでの「捻挫を繰り返してしまう原因」についてまとめると、以下の流れになるのではないかと思います。

「足関節捻挫を繰り返してしまうのは、中臀筋が硬くて弱いために『股関節の内転角度を深くした状態で立つことができず、下腿と地面が作る角度が大きい状態で、足関節を内反してしまう』という、極めて捻挫しやすい体の状態のまま運動を再開していることが、主な原因として考えられる」


6.なぜ右足ばかり痛めてしまうのか?

次に右の中臀筋の筋力が不十分で、左は(捻挫しない程度には)十分な筋力があるという左右差が生じてしまったかについて考えていきます。

ご存知のとおり、大谷投手は右投げ左打ちです。
特に投球動作と打撃動作の下の画像の瞬間は、左の中臀筋が筋力を発揮することで実現できるポジションです。497851916
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特に下半身の動きがより大きく、かつ左右差がある「右投げ」の影響で、鍛えているつもりが無くても、勝手に左中臀筋が発達したと思われます。
筋力差が生まれてしまったことによって、走動作の様な一見左右対称に見える運動中も、より筋力が強い左脚に頼った動きになってしまい、尚更、右中臀筋の筋力が低下してしまったと思われます。
つまり、野球というスポーツをプレイしていることで、無意識の内に右中臀筋の筋力低下が生じてしまい、右足関節の捻挫を繰り返してしまうようになったのです。
高校生以降から捻挫を繰り返すようになったのは、第二次性徴後に性ホルモンの影響によって筋肉が発達しやすくなったこと、つまりより左右差が生じやすくなったことが関係していると思います。
ちなみに、アスリートではない一般の方でも、利き腕と利き足の関係から、利き腕が右の人の多くは、左脚の方が安定して立てます(=中臀筋が強い)。

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反対に、左利きの方の場合、下の画像の様に、右脚で立った方が安定するケースが多いです。
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※利き腕と利き足、軸足(安定して立てる脚)の関係について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。


7.大谷選手の捻挫グセは治るのか?有効な予防法とは

もちろん「右中臀筋の強化」によって、大谷選手の「捻挫グセ」は改善することができるはずです。またマティプ選手やほぼ全てのアスリートの「捻挫グセ」についても、捻挫を繰り返してしまっている側の中臀筋を鍛えれば大丈夫です。
今までも多少意識的に、中臀筋をトレーニングしていると思われる画像もありました。
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※こちらは左中臀筋を鍛える動きになります。

しかし、走動作で確認できたように、現在の大谷選手は右中臀筋の筋力が不足しています。体重が97kgもある大谷選手(wikiより)は、今後はバーベルを担ぐなど、より負荷が高い中臀筋のトレーニングに取り組む必要があると思います。

ちなみに「中臀筋のトレーニング」などで、動画や画像を検索してもらえれば色々と出てくると思いますが、個人的には足の裏をしっかり地面についた状態(クローズドキネティックチェーン、CKC)で行うシングルレッグ・スクワットやシングルレッグ・デッドリフトがお勧めです。

「シングルレッグ・スクワット(右脚)」
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http://munfitnessblog.com/legs-workout-17-single-leg-squat/より

※クローズド・キネティックチェーンについて詳しくはこちらのサイトの「オープンキネティックチェーンvs.クローズドキネティックチェーン」以降をご覧ください。

ちなみに、中臀筋を鍛えると、ヒップアップ効果美脚効果(膝頭のすぐ上と、膝から下が細くなる)もあることを付け加えさせてもらいます。
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陸上女子短距離でロンドン五輪と世界陸上大阪大会で三冠を達成したアリソン・フェリックス選手を始め、陸上競技のトップ選手は、「臀部が発達し、膝から下が細い」という、美しく、かつ走動作に最適な体型をしていることがほとんどです。
詳しくは、拙ブログ記事「ヒップアップに一番効くエクササイズはこれっ!!!」をご覧ください。


8.まとめ

足関節捻挫を繰り返してしまう原因や対処法について、再度まとめます。
捻挫を繰り返してしまうのは、「中臀筋が硬くて弱いために『股関節の内転角度を深くした状態で立つことができず、下腿と地面が作る角度が大きい状態で、足関節の内反を繰り返してしまう』という、極めて捻挫しやすい体の状態のまま運動を再開しているため」だと筆者は考えます。大谷選手、マティプ選手が片方の足の足関節捻挫を繰り返してしまっているのも、原因は同様です。
反対に、ジェラード選手の様に股関節を深く内転することができるようになれば、足関節内反捻挫のリスクを低くすることができます。
筋肉はトレーニングなどで刺激すれば、柔軟かつ強靱になるので、中臀筋を鍛えるトレーニングを行えば「捻挫グセ」は改善することができます。
また「捻挫を予防するため」の中臀筋のトレーニングについては、「地面に立った状態で中臀筋が筋力を発揮する」必要があるので、地面に足を着いた状態(CKC)で行うことが、最も有効だと思われます。
大谷選手の場合は右脚、マティプ選手は左脚のシングルレッグ・スクワットorシングルレッグ・デッドリフトを重点的に行うことで、捻挫の予防ができるだけでなく、片足立ちの安定性が高まることによるパフォーマンスアップも期待できます。

筆者の考察が正しいかどうか等はどうでもいいのですが、「日本の宝」である大谷翔平選手がしっかり治療とトレーニングを積んで、今後は捻挫を繰り返さなくて済むようになることを切に願います。

トレーニング等の直接指導もロジカル・トレーニングにて対応しています。ご興味ある方や、捻挫を始めとした「クセになっている」怪我でお悩みの方などは、お問い合わせなどからご連絡ください。

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【2018年4月28日追記】
2018年から米メジャーリーグに活躍の場を移している大谷選手ですが、画像などを確認した限り、本記事で指摘させてもらった「右股関節の問題」はほぼ克服している様に見えます。
まず。右股関節の内転角度について、バッティングフォームから確認してみます。

2018年4月4日時点

2016年11月11日時点

右股関節内転の可動域が、2018年の方が日本にいた2016年11月時点よりも大きくなっています。

次に「右中臀筋の筋力不足」の根拠としてあげさせたもらった「肩のライン」です。
下の2つの画像は2018年3月29日時点のものです。

背景の外野手の動きからすると、大谷選手は左脚、右脚の順で連続して着地している画像だと予想されます。
画像からは、本記事本編で指摘したような肩のラインの左右の差はかなり小さくなっている様に見えます。

去年1年間、フル出場できない間にかなり集中的にトレーニングできたと思われますが、これだけ的確に弱点を鍛えてきたのには驚きです。
恐らく、トレーナーの指導だけでなく、大谷選手本人もかなり考えてトレーニングをしたものと思われます。
本日、ベースタッチの際に左足首を軽く捻ったそうですが、一塁を駆け抜けようとした際に、接触をさけようとしてベースを踏み外しただけなので、数日中にも復帰して、また打って投げての大活躍を見せてくれることでしょう。

受傷時の動画:Ohtani breaks bat, tweaks ankle

【2018年10月31日追記】
英文ですが、「片脚立ちの安定性が低いと、捻挫の危険性が増大する」という論文がありました。

Single leg balance test to identify risk of ankle sprains

簡単に紹介すると、以下の様になります。

高校1校(選抜チーム)と大学3校(大学間対抗レベル)から、男性アメリカンフットボール競技者100名、男性サッカー競技者50名、女性サッカー競技者54名、女性バレーボール競技者26名の計230名を集め、シーズン前に片脚バランス(SLB)テストを実施。
SLBテストは「裸足で片脚立ちして、遊脚は膝を曲げ立脚に接触しない、骨盤は地面に対して平行、眼は壁のある一点に固定しその後10秒間つむる。この10秒の間に、左右の脚が接触したり、遊脚が地面に着いたり、腕がスタートした位置から動いた場合、検査員はそれを記録。初回のテストで10秒静止できなかった場合、もう一度テストを行い、この2度目のテストが採用された。左右どちらかの脚、もしくは両方の脚で10秒間静止できなかった場合、SLBテスト陽性となる」と定義。
調査期間中に足関節を捻挫したアスリートは28名。そのうちSLBテストが陽性だった者は19名、陰性だった者は9名だった。
交絡変数を調整したところ、SLBテストが陽性だった者が捻挫する相対危険度は2.54となる(SLBテスト陽性者の捻挫リスクは、陰性者の2.54倍)。SLBテスト陽性で、かつ足関節にテーピングをしない者の捻挫の相対危険度は8.82。
以上から、SLBテストは足関節捻挫を予測するテストとしての信頼性も価値も非常に高いと言える。

論文では、結論で「SLBテストが怪我の予測方法として役立ったが、怪我のリスク増大に関係する正確なメカニズムはよくわからないままである(≒片脚立ちを安定して行う為のメカニズムは不明)」とあります。
しかし、ここまで呼んでくれた方ならお分かりかと思いますが、「片脚立ちを安定させるのは、主に中臀筋を始めとした臀筋群」であることは、解剖生理学からも生体力学からも明らかです。

寝起きに痛む左腰痛 30代女性

【症例】30代女性

【初診日】’16年5月7日(施術回数1回)
※以前に鼡径部の痛みで来院あり。

【現病歴】
1か月くらい前から寝起きに左腰が痛むようになった。
それまでも中学生くらいの時から立ち続けていると左腰が痛くなることがあった。
今は台所作業でも痛みがある。

【症状の確認】
〈立位〉
前屈(-)
後屈(+)
側屈:右(+)左(-)
回旋:右(-)左(-)

【施術】
かなり痛みに敏感なことが前回の施術時にわかっていたので、この日も前回同様ストレッチでの施術を試みました。
まず左臀筋のペアストレッチと股関節揺らしを入念に施しました。
ここで起き上がってもらい痛みがあった後屈と右側屈を行ってもらうと、違和感程度で痛みはかなり改善していました。

その後、臀筋のセルフストレッチの方法の話をしていると、右股関節の可動域が左よりも小さいことがわかりました。
本人も左脚で立った時の方が「何となく安定する感じがする」そうです。
「左腰が痛くなる原因は右股関節の動きが悪いことが原因かもしれません」と説明して、左腰の痛みが治まったら右のお尻のストレッチを普段は行ってみることや、意識的に右脚で立つことと肩掛けカバンを右肩に掛けると左右のアンバランスが改善することを説明して施術を終了しました。

【考察】ジョーダン・ヘンダーソン選手の左踵の痛みが起きていない理由

イングランド・プレミアリーグで今シーズン(16/17)好調を維持しているリバプール。
チームを支える中盤の底を務めるのは、イングランド代表でもキャプテンを務めるジョーダン・ヘンダーソン選手(愛称:ヘンド)。
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今シーズン目立った怪我もなく順調に過ごしているヘンドですが、昨シーズン(15/16)には左脚の踵に慢性的な痛みを抱えていました。
その為、満足なパフォーマンスを発揮することはおろか、シーズン当初の’15年8月17日のボーンマス戦から同年11月30日のスウォンジー戦での途中出場までの約3か月間、痛みのために欠場を余儀なくされていました。

踵の痛みと戦うヘンダーソン|山羊男のKOPスタンドブログ
2015-12-06 10:00:00

ジョーダン・ヘンダーソンは、3ヶ月の欠場を余儀なくされた踵の怪我が医学的な回復は見込めないものであり、今後もその痛みと付き合っていかなければならないと語った。

ヘンダーソン、足底筋膜炎に悩む。ファーギーの“指摘”には懐疑的

高名な外科医とも相談したものの、それを(完全に)取り去るよりも対処しながらやっていかなければならない現状にあるそうだ。

医者から「根本的な解決法は無い」とまで言われ、痛み止めの注射をしながら試合に出場していたヘンドでしたが、今シーズンは戦線離脱は一度も無く、リーグ戦14試合の全てに先発フル出場を果たしています。
しかも前線からの激しいプレスを採用し、運動量が求められるクロップ監督のサッカーに応えるように、走行距離もプレミアリーグ内で最長です。

まだシーズン序盤なので、痛みがあれば大事を取って休養することもあり得ると思いますが、そういったこともありません。ヘンドの性格からすると、痛みがあっても出場しそうですが。

ケアが上手くいっている、インソールを改良したなど、表には出てこない情報もあるかと思いますが、そういったことは取りあえず横に置いておいて、ここでは昨シーズンと今シーズンでヘンドのどこが変わって左踵の痛みが改善したのかを、画像からわかる情報を基に考えていきたいと思います。 続きを読む

お家でできる簡単!!!膝痛対処法

膝痛の際に気を付けるべきことを記載します。
実際の症例はこちらをご覧下さい。

1.今現在膝痛がある方の対処法「マッサージ編」

まず膝周囲の押してみて痛む点をマッサージするだけで痛みが良くなることもあります。
下図を参照に病院や鍼灸院に掛かる前に一度お試しください。
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http://www.geocities.jp/dhtgky/より

※膝周囲をいくら押しても痛みが無いという場合は、膝以外に問題がある場合があります。

次にこの痛む点(コリ)を生じる原因についてです。
まずクツ等の履物によってコリが生じることがあります。
踵の高い靴や足の甲でしっかり固定できないクツ(サンダル、長靴等)を長時間履いたり、たとえ運動靴であっても紐などで甲をしっかり固定しない履き方をしていると、それによって足周囲にコリが発生し、膝痛を発症してしまうことがあります。

歩き方の癖によって足のコリが生じることもあります。
その際は後ろ歩きで無理の無いスムーズな体重移動を実感していただくと、歩き方の癖をある程度修正することができます。

2.今現在膝痛がある方の対処法「ストレッチ編」

ほとんどの膝痛ではモモの裏側、よくハムストリングと言われる筋肉群をストレッチすることで膝痛が軽くなります。
特に階段を降りる際の様な「曲げている最中に生じる膝痛」に対して、このストレッチは有効なケースが多いように感じています。
「押してダメなら引いてみろ」ではありませんが、「曲げて痛むなら伸ばしてみろ」といったところです。

具体的なストレッチ方法は下図のとおりです。
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https://www.yspc.or.jp/ysmc/column/health-fitness/stretch-1.htmlより

立った状態でもストレッチできます。
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http://www.sportsoasis.co.jp/blog/3/201211/06.htmlより

3.運動中に生じる膝痛について

一定以上の強度の運動をある程度続けると膝に痛みが生じることがあります。
例えば、5~10km以上走ると痛みが生じるというケースです。
こういった場合、ほとんどのケースで股関節の柔軟性や筋力に左右差があり、特に痛む側の股関節が硬い、もしくは筋力が低いことが多いです。
施術等でその場では痛みが改善しても運動すると元に戻っていまう、もしくは痛みは運動中だけで普段は何ともないという方は、下記の記事を参考にストレッチやエクササイズに取り組んでいただくことをお勧めします。

「軸足の存在によって生じる臀筋の左右差とその解消方法~ランニング中に起きる膝痛を題材にして~」
「ストレッチによる腰痛対処法-腰痛の原因は腰にあらず-」
「トライアスリートの膝関節痛の原因となった股関節」

4.膝痛の原因

膝の痛みの原因として、X線等の画像診断によって変形性膝関節症と診断されることが多いですが、画像所見と痛みは関係ない、すなわち手術等で見た目の異常が取り除かれても痛みが消失しないということがあります。

変形性ひざ関節症によるひざの痛みの軽減のために
http://www.geocities.jp/dhtgky/

軟骨の老化と痛みの関係はよく分かっていません。
レントゲンであまり変化がみられなくても、痛みが強い場合もありますし、逆にかなり軟骨の変性がみられても痛みがないこともあります。

「手術しか方法が無い」と言われた場合も、あせらずに鍼灸治療や以上に示した方法をまずはお試し下さい。

痛みの生理学「半月板の異常で痛みは起きるのか!?」もご覧頂けると幸いです。

また鍼灸マッサージやその他全ての物理療法による「痛み」の治療に共通して言えることですが、基本的に治療直後に痛みが改善しなければ、その治療は効果無しです。
3~5回程度通っても、痛みの程度・範囲に改善があまり見られない場合は、現在通院している所は「痛みの治療として有効ではない」と判断して、さっさと他の治療機関へ転院した方が、お金・時間の節約になります。

ちなみにご存知の方も多いと思いますが、グルコサミンの内服も特に効果は無いとする論文が発表されています。

変形性膝関節症へのグルコサミン内服、初のRCTでは予防効果得られず
日経メディカルオンライン 記事 2012.11.19
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/acr2012/201211/527823.html

近年、グルコサミンは変形性膝関節症の症状に有効とする報告があるが、ハイリスクとされる肥満の中年女性を対象とした無作為化比較試験を行った結果、2.5年間の追跡で変形性膝関節症の発症に対してグルコサミン摂取の有意な影響は見られず、発症予防の効果は証明されなかった。