ボールの握り方に問題があった投球動作で生じる右肩痛 40代男性

【症例】40代男性

【初回日】2018年4月5日(施術回数3回)

【現病歴】
2018年2月頃から、起床時やつり革につかまったりした際に右肩にシビレを感じるようになった。
日常生活の支障はそれくらいだが、週末に野球をやっていて、ボールを投げる際に腕を上げようと意識すると痛みが出る。
4月8日にも野球の試合があり、野手として出場する可能性が高いので、少しでも痛みを改善したい。

【視診】
「投球で痛む」ということは、投球動作やボールの握り方に問題がある訳ですが、ボールの握りを見せてもらうと、親指が親指方向(橈側)にあり、親指の腹でボールを抑えるような握り方でした。

※筆者再現

この握りでは、手がトップの位置に来た時に手首がスムーズに回内せず、肘や肩に大きなストレスが掛かってしまいます。

下の画像の岩隈久志投手の握り方の様に、人差し指と中指の間辺りに親指を置いて、親指の側面で握らないと肩を痛めやすいことを説明しました。

『すぐマネしたい ピッチング トッププレイヤーの技術』より

また、座った体勢で、ボールを下から上に投げ上げてもらうと、飛ぶ方向だけでなく回転の軸が安定していませんでした。

【症状の確認】
<肩関節>
屈曲(+)
外転(+)
※90°と180°の辺りで痛みが出ます。
水平屈曲(-)
水平伸展(+)
結髪動作(+)
結帯動作(+)
投球動作(+)
※握り方の問題点で指摘したとおり、トップポジション以降のレイトコッキングのフェーズで痛みが出ます。

http://www.hitsujigaoka.com/shoulder/baseball_shoulder/より

【触診】
右巨骨穴に強圧痛を、右の曲池穴、中府穴、肩外兪穴に圧痛を、右手掌部や手背部の筋肉にも著明な筋緊張を検出できました。

【施術】
「投球動作」という根本原因があるので、施術以降も持続的に刺激が入る方が望ましいと考え、ソフトピソマでの施術を提案し了解を頂きました。
まず座位で強圧痛を検出した右巨骨穴部2点にソフトピソマを貼付し、30回程タッピングを施しました。
ここで外転をしてもらうと、先ほどまであった痛みがかなり楽になっていました。
更に投球動作もしてもらうと、こちらもかなり痛みが楽になっていました。

次に仰向けになってもらい、圧痛を検出した右の曲池穴周囲や中府穴、腋窩、肩外兪穴や筋緊張を検出した手掌部、手背部の周囲にもマッサージを施しました。
筋肉が柔らかくなったのを確認して、起き上がってもらいました。
ここで最初と同じように肩を動かしてもらいました。

屈曲(-)
外転(±)
水平伸展(-)
結髪動作(-)
結帯動作(-)
投球動作(-)

以上の様に、かなり痛みが改善したので、最後に「ボールの握りに慣れるよう、ボールを握る機会を増やす事」と「座った体勢から、アンダーハンドで上にボールを投げる練習を行う事」、更には「痛みが減ったからといって、急に投げると再発の恐れがあるので、壁当てなどして肩を投球動作に慣れさせる」という3点をアドバイスして初回を終了しました。


《第2回》2018年4月12日(初回の7日後)

【経過】
「8日の試合は一塁手だったので、試合中はそれほど投げなかったが、試合前のキャッチボールで当初は痛みがあったが、悪化はせず、何とかプレイできた」
「試合後には『いつもの張り感』は出たが、極端に痛みが悪化することはなかった」
「起床時や吊り革につかまった際のシビレも大幅に改善した」

【症状の確認】
屈曲(-)
外転(+)
※180°の辺りで痛みが出ます。
水平屈曲(-)
水平伸展(+)
結髪動作(-)
結帯動作(-)
投球動作(+)
※初回同様、レイトコッキングで痛みが出ます。
※ボールを握って行うと、少し痛みが改善します。

【動作確認】
座った体勢からアンダーハンドでボールを投げ上げるのは、バラつきこそあるものの、回転軸が地面と水平なキレイなボールを投げられるようになっていました。

【運動指導】
ボールを握って投球動作を行ってもらうと、座った体勢とは異なり、初回同様「親指が親指方向(橈側)にあり、親指の腹でボールを抑えるような握り方」だったので、再度「人差し指と中指の間辺りに親指を置いて、親指の側面で握る」ことを指導し、その握りのままもう一度投球動作をしてもらいました。
すると、先ほどよりも力強く腕が振れるようになり、更に痛みも改善していました。

【施術】
初回同様、仰向けになってもらい、右手掌・手背部、前腕部、肩外兪穴周囲をマッサージし、更に巨骨穴にソフトピソマを貼付しました。
最後に壁当てなどで握りに慣れるよう指示して第2回を終了しました。


《第3回》2018年5月10日(第2回の28日後)

【経過】
「前回施術を受けて以降、かなり調子が良かったが、4月30日の練習中に遠投をした際に、また痛めてしまった」
「痛みは徐々に改善している」
「4月30日頃から、右手首も痛みが出るようになった」

【症状の確認】
<右肩関節>
屈曲(-)
外転(+)
※120°の辺りで痛みが出ます。
水平屈曲(-)
水平伸展(-)
結髪動作(-)
結帯動作(-)
投球動作(+)
※ボール無しだとレイトコッキング時に、ボール有りだとフォロースルー時に痛みが出ます。

<右手首>
屈曲(+)
伸展(-)

【施術】
まずうつ伏せになってもらい、右頚肩部から腋窩部にマッサージを施しました。
起き上がって外転してもらうと、120°辺りで出ていた痛みが無くなっていました。

次に仰向けになってもらい、右の曲池穴周囲と合谷穴、手掌部にマッサージを施しました。
筋肉が柔らかくなったのを確認してから、起き上がってもらい、再度外転をしてもらい、更に投球動作もしてもらいましたが、どちらも痛みはありませんでした。
右手首の屈曲での痛みも無くなっていました。

施術中に「仕事中、滑りやすい状態で握って作業することがある」という話を伺ったので、「もしかしたら、その時にできる筋肉のコリのせいで、今回の右肩や右手首の痛みが出たのかもしれません」と説明して施術を終了しました。

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